Diary
帰国
一雨ごとに暖かさが増してまいりますが、皆様いかがお過ごしですか。
私は先ほど帰国しました。とても長い旅でしたが、私は元気です。
一週間ぶりに日本へ帰ってきましたら、お彼岸入りしていました。
春のお彼岸に入ると、自然や、生きるものを自ずと慈しむ気持ちになりますね。
私もお彼岸にはご先祖様や、森田監督やヘアメイクの宮森さんはじめお世話になった大切な方々を偲びます。
春のお彼岸はどうしても、阪神、東日本それぞれの大震災で命を落とされた方々のことも想わずにはいられません。
そして今年はもう一人。
私の曾祖母に、今想いを馳せています。
私事なので、皆様にお知らせすべきかどうか迷っていたのですが、昨年の秋に曾祖母が他界しました。
享年100歳の大往生でした。
以前、「瀬戸内まで」という曾祖母にまつわるエッセイを書かせて頂いたことをきっかけに、
曾祖母の様子を気にかけてくださる方が沢山いらっしゃったので、ここにご報告させて頂きました。
エッセイにも書いたのですが、曾祖母はお洒落が大好きで、つばの広い帽子と口紅のよく似合う人でした。
私が大学を卒業したころ、初めて「いよいよかもしれない」と、母から連絡を受けました。
その時私は北海道で一ヶ月こもって映画の撮影をしていて、気が気でなかったのを覚えています。
後日、曾祖母は奇跡的な回復を見せ、気が気でない家族、親族のことはお構いなしに元気に家に帰ってきた、と聞きました。
曾祖母らしい、と安堵しました。
その後も1、2年に一回ほど、風邪をこじらせたり、骨を痛めたりしながら、
「今夜が山場かもしれない」という連絡を何度か受けましたが、最後は必ず復活するのが曾祖母でした。
「元気で100まで生きようかい」というのが口癖で、戦争を経験し、夫を亡くし、何人かの子どもに先立たれ、癌を経験してもなお、
しゃんと背筋を伸ばして立っている人でした。
もともと強い人だったので、本当に100まで生きると誰もが思っていたし、とても可愛がってくれた曾祖母が亡くなるなんて、私には想像の出来ないことでした。
そして昨年、ドキュメンタリー番組でローマへ発つ前にまた、「いよいよだって」と母から聞かされました。
まさか、きっと今回だって大丈夫、でももしかして、ローマへの飛行機の中では何度もそんな考えがぐるぐると頭を巡りました。
まさかもう一度会うチャンスをくれずに逝ってしまうはずがない、と妙な決めつけをして、収録に臨みました。
しかし願いは届かず、ローマでの収録2日目のお昼に、亡くなったと連絡を受けました。
海外で仕事をしている私を気遣っての手短な連絡でしたが、とてもあっけなく感じました。
大切な人の死に目に会うのはあきらめなさい。
親の死に目に会えなくても、仕事に穴をあけないと誓いなさい。
自分には代わりがいないという自覚を常に持ちなさい。
この仕事を始めた時に当時の事務所の社長に言われた言葉をぼんやりと思い出し、
そうなんだよなぁ、そういう職業なんだよなぁ。と少し冷めた気持ちになりました。
来たばかりだけれど日本に帰りたい、と思いました。
大切な人が亡くなったというのに、こんな時に病院へ駆け付けることもせず、笑顔で仕事をすることが、褒められたことだとその時は思えませんでした。
この複雑な気分、いつかも味わったなぁ。そうだ、震災の時。
3.11の時もそうだった。揺れがおさまるのを待って撮影をしたし、その翌日も広告の撮影をしたんだっけ。
やっぱりこんな時に撮影をするなんて尋常じゃない。人としてどうなんだ。
親が倒れても、カメラの前で笑っていられるのだろうか。
その時になってみないと自信がない。
楽しくないのに笑えるもんか。人間なんだ。だけど悲しいからって仕事を投げ出すわけにはいかない。
それはダメだ。笑え。笑え。笑え。
色んな考えが浮かんでは消えていきました。
そんな時、最後に私を立たせて下さったのは、ファンの皆様でした。
沈んだ気持ちでFacebookやファンメールを開いてみれば、ローマにいる私を気遣ってくださる皆様の愛の溢れるコメントでいっぱいでした。
落ち込んでいる場合ではないのだ、と頭を打たれたような気になりました。
番組を楽しみに待ってくださっている皆様の顔が浮かぶと、よし、しっかりやろう、と自然に思いました。
思えば、曾祖母も私の雑誌やドラマを見るのが大好きな人でした。
元気に仕事をやりきることが一番正しいことなのだと理解しました。
私はいつなんどきも、お話を頂ける限り、全力で仕事をするのが自分の役目であると改めて思いました。
あの日からまた少し、強くなれたと思います。
支えてくださるファンの皆様のために、一人でも多くの方に笑顔をお届けするために、どんな時も明るく、頑張っていきたいです。
天国へもこの気持ちが届きますように。
長くなってしまいましたね。
本日は最後に皆様にお知らせがあります。
インポートセレクトショップ「パリゴ(PARIGOT)」の東京初となる路面店「パリゴ 丸の内店」が3月13日にオープンしました。
私はもともとよくPARIGOTさんでお買い物をしていた御縁もあり、パリゴ店舗とパリゴオンラインショップで販売される写真集
「PARIGOT ~Light in the Night in Marunouchi~」のモデルに起用して頂きました。
「モードは再び事件になる。」をコンセプトに、夜の丸の内仲通りで特別に許可を得て、憧れのカメラマン上田義彦さんに撮影して頂きました。
気温1度ととても寒い日でしたが、上田さんとのファッション撮影のためならいくらでも我慢できました。
とてもかっこいい仕上がりになっていると思います。
ぜひ、店舗へ足を運んでみてくださいね。
海外帰りで体がなまっているので、片づけを済ませたらジムに行こうと思います!
皆様も元気な毎日をお過ごしください。