Diary

2023.12.26
KEIKO KITAGAWA

「どうする家康」振り返り

大河ドラマ「どうする家康」一年間ご覧いただきありがとうございました。
お話をいただいてから放送を終えるまで2年以上、ずっとお市と茶々のことが頭にあったので
全て終わったのにまだ忘れられないような、不思議な感覚です。

最初に二役でお話をいただいたときは、二つとも大きなお役だったので
どちらも自分がというのは荷が重すぎるし、見ている方もきっと混乱するし、どちらかというわけにはいきませんかと尻込みしたのを覚えています。
ですが脚本の古沢先生の思いをお聞きし、お市と茶々の母娘を同じ役者が演じる事で生まれる効果や意味を理解してからは全力で臨んでみようと心に決めました。

そんなわけでクランクイン前に、小谷城、養源院、大阪城、高台寺、持明院などなど、
所縁の地を巡ってお市と茶々の人生を学んだりお墓参りをしたり、文献を読み漁ったり、やれることをやってみました。
学生時代から歴史が大の苦手な私にとっては、ゼロから学び直したような感覚でした。

お市を終えて茶々になるまで一ヶ月ほど空いた期間があったので、もう一度また高台寺を訪れたりもしました。
お市も茶々も若くして生涯を終えていて、史実もそれほど多くは残っていないので
実在した人物を演じる難しさは今回も非常に感じましたが
とにかく古沢先生の脚本、書かれたセリフを大切にしたいと思い演じていました。
記録に残っていない部分、作品の中で描かれていない部分の心情を想像しながら演じることは孤独ですが楽しい作業でした。
そしていつも私が心に願っている、時代劇を絶滅させたくないという思いや、
その時代に合わせた所作や扮装の見せ方など、先輩方が繋いで来られた時代劇の形式美を受け継ぎたいという思いを今回の二役に投じられ、とても嬉しかったです。

せっかくなので写真を放出して終えたいと思います。

こちらはお市で馬に乗るシーンがあったため練習していた時のもの。
念願かなっての乗馬でした。

お市。

10代を演じるのは気まずいけど、その辺は自分でも見て見ぬふりをして演じる。それが大河です。

晩年。

と言っても若いのですが…。(37歳没)

この扮装は岡田准一さんの信長のベストで、信長の妹であるという誇りを感じて大好きだった衣装です。

クランクアップ。(1回目)

茶々。

10代を演じるのは気まずいけど、(以下省略)幼少期役を演じられた白鳥玉季さんの目の使い方や佇まいをテーマに演じました。
ダーンで登場のプレッシャーよ。

晩年。
と言っても若いのですが…(46歳没)

二役とも言えるのは、晩年の方が実年齢に近いので気が楽でした。

この扮装はやはり岡田准一さんの信長のマントを意識したものです。
私の中にはずっと岡田さん白鳥さん、小川眞由美さんがいました。
口がどんどん赤くなってるとか、眉毛がどんどん伸びてるとか、上がってるとか、そんな都市伝説も生まれそうなこのお化粧と立派なカツラ、そして素晴らしいお着物。
この扮装にどれほど助けてもらったか。
スタッフの皆さんには感謝しかありません。

悪女として描かれることの多い茶々ですが、悪女という型にはめたくなく、
娘として母として妻として、そして戦国を命懸けで生きる一人の生身の人間としてこの作品の中では息づいていたいという想いを貫くことができました。

クランクアップ。(2回目)

2回づつインとアップをして、3度落城して、2度死にました。珍しい経験でした。

こちらはスタッフさんが作ってくださったアクスタ。

お市の後ろにあった白い和紙を娘に破られてしまった。元々は紅白でした。

お面。これも作ってくださったもので私サイズです。
来年のハロウィンに使います。

ダラダラと書いてしまいましたが、作品を応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。
そして、この作品に関わった全ての皆様、本当にありがとうございました。

年末の総集編、そして1月21日までは我らが殿の写真展で余韻に浸ることができます。
殿本当にお疲れさまでした…。
今頃燃え尽きていらっしゃることでしょう。

最後になりますが、私が出演するドキュメンタリー「京都 天下人が愛した美 北川景子が迫る名宝の秘密」がBS日テレで12月27日(水)に放送されます。

ゴッホとか瀬戸内とか、何度もご一緒しているチームと一緒に、今回は京都でした。
大河の前に頂いていた企画で偶然なのですが、どういうご縁か豊臣秀吉や寧々様、徳川家ゆかりの美術品、襖絵や蒔絵、庭園などを巡る旅でした。
醍醐寺、二条城、長谷川等伯などなど豪華な名宝、国宝を巡っています。
大河をクランクアップしてすぐにこちらの撮影で、お礼参りもでき私としても思い入れの強い大切な番組となりました。

こちらでも余韻に浸ることができますので、ぜひよろしくお願いします。